日本が春を迎える3月から4月。地球の反対側、南米アルゼンチンのメンドーサでは黄金色の秋が訪れ、ぶどうの収穫シーズンが最盛期を迎えます。澄み渡る青空と乾いた空気、そして雪をいただくアンデス山脈。その絶景がいっそう美しく映えるこの季節は、ワインツーリズムが一年で最も華やぐ特別な時期です。1月から3月にかけて、メンドーサ州内の各地で収穫祭が行われ、街は祝祭の空気に包まれます。
なかでも最大の見どころが、毎年2月下旬から3月上旬に州都メンドーサで開催される世界最大級の収穫祭「ナショナル・ベンディミア・フェスティバル」です。1936年から続くこの伝統ある祭典は、2026年に90周年という節目を迎えます。期間中、街全体はまるで“ワインの博物館”のような雰囲気に変わり、あらゆる場所で収穫とワイン文化を讃える催しが繰り広げられます。
特に3月上旬の週末は、街が熱狂の渦に包まれるクライマックス。金曜夜の「ヴィア・ブランカ」では、幻想的にライトアップされた山車が大通りを進み、各地区を代表するクイーンたちが沿道の観客へぶどうや特産品を振る舞います。翌土曜午前の「カルーセル」では、伝統衣装をまとったガウチョたちが登場し、アルゼンチンの歴史と誇りを体現する壮大なパレードが繰り広げられます。これらのイベントは無料で公開され、市民と旅行者が一体となって収穫を祝います。
そして祭典の頂点を飾るのが、土曜夜に野外劇場で行われるメインショーです。1,000人を超える出演者、最先端のプロジェクションマッピング、夜空を彩る花火。アンデスの夜に広がる光と音の演出は、ここでしか味わえない特別な体験となるでしょう。世界中から注目を集めるため、2026年の外国人向けチケットはすでに完売しています。
もしメンドーサ旅行を計画するなら、あえて祭典直後を選ぶのもひとつの方法です。日本の春休みにあたるこの時期は、収穫の余韻が残りながらも混雑が和らぎ、黄金色に染まるぶどう畑をゆったりと楽しむことができます。澄んだ空気の中に広がるアンデスの風景は、収穫期ならではの美しさです。
メンドーサ観光の醍醐味は、やはり個性豊かなワイナリー巡りにあります。マイプやルハン・デ・クージョは中心地からのアクセスも良く、英語ガイド付きで醸造の歴史を学べるワイナリーも充実しています。一方、バジェ・デ・ウコではアンデス山脈に抱かれた高地の絶景が広がり、近代的なワイナリー建築はまるで美術館のような佇まいを見せます。ぶどう畑を歩き、造り手の想いに耳を傾け、その土地で味わう一杯。それは単なるワインではなく、風土と時間を味わう体験です。アコンカグアを望むランチや畑でのヨガ、収穫期限定のぶどう摘みや足踏み体験など、各ワイナリーが趣向を凝らしたプログラムも用意されています。訪問の際は事前予約を忘れずに!