サッカーアルゼンチン代表ユニフォームへの想い

長く滞在したアルゼンチンを去る時、別れの挨拶を伝えるため、いつものように徒歩で友人宅を訪れました。これまでは、気まぐれにひょっこり立ち寄っても、彼らはいつも「あがって、あがって!」と大喜びで招き入れ、マテ茶を淹れ、甘いドゥルセ・デ・レチェ(ミルクジャム)のお菓子を出してくれたものです。

しかし、いよいよこれが最後の訪問です。いつものように一つのマテ茶の回し飲みをしながら、思い出話に花を咲かせました。いざ別れの時、「ちょっと待ってくれ」と言って奥へ引っ込んだ友人を玄関先で待っていると、彼はアルゼンチン代表のサッカーユニフォームを片手に、満面の笑みで戻ってきたのです。大きく両手を広げて私に抱きつくやいなや、「これを持っていってくれ」と、洗濯されたばかりのクタクタなユニフォームを差し出してきました。

アルゼンチン人と本当に心が通じたと、目で見て確信できる瞬間があります。それは、彼らがクローゼットから引っ張り出してきた使い古しの、あるいは、今この瞬間に自分が着ているユニフォームを「はい、これ」と突然プレゼントされたときです。

彼らにとって、サッカーのユニフォームは単なる衣服ではなく、自らのアイデンティティそのものです。それを贈るということは、「自分の大切な一部をあなたに託す」ということを意味します。新品よりも、自分が愛用してきたものを手渡す方にこそ、深い価値があると彼らは信じているのです。もしアルゼンチン人からユニフォームを贈られたなら、それは決して気まぐれな思いつきではありません。あなたを友人として、特別な存在として深く認め、心から受け入れたという強力なサインです。その圧倒的な気前の良さと、衝動的な情熱に触れるとき、私たちは彼らの真の国民性を実感することになります。

2022年12月、カタールW杯の準決勝直後。決勝の切符をつかみとったばかりのメッシへ、アルゼンチンのジャーナリスト、ソフィア・マルティネスが向けたインタビューが世界中で大きな感動を呼びました。彼女が語りかけた言葉が、まさにその精神を物語っています。

「これから決勝が始まりますが、結果に関わらず、あなたが国民の心を支えている事実は変わりません。今、この国にはあなたのユニフォームを持たない子供はいません。本物、偽物、手作り、あるいは貧しくて買えず頭の中で想像しているだけだとしても、誰もがメッシのユニフォームを着ています。あなたはトロフィー以上に価値のある『生きる幸せ』を国民の人生に残してくれました。これは決勝の結果よりも重要なことであり、誰も奪えない現実です。本当にありがとう、キャプテン」

この国において、サッカーへの愛着は一部のファンのものだけではなく、国への誇りと直結した、生活に深く組み込まれたものです。代表ユニフォームの保持率は驚くほど高く、ブエノスアイレスの街を歩けば、必ずそれを身にまとった人々とすれ違います。買い物に行くときも、友達と集まるときも、そして寝るときですら着用する、まさに人生に寄り添う「日常着」なのです。

いよいよ4年に一度の祭典、FIFAワールドカップ2026が開幕します。前回王者アルゼンチンは、再び世界の頂点に立つことはできるのでしょうか?!選手たちの熱い戦いに期待しながら、アルゼンチンワインとともに大会を楽しみましょう!

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